小田急電鉄60000形(MSE車)2009年7月6日修正、写真追加。

OER-60000
VSEに続くドイツ鉄道ICE3パクリデザインの第2弾。
前頭部のみならず、上下寸詰まりの窓、前に向かって垂れ下がったライン、丸い屋根、車体裾の縁取り、引っ込んだスカート、などなど。ここまで真似しなくても・・・。JR九州の「白いかもめ」もそうだけど。
2008年4月、町田。

本稿は、2008年4月に本ホームページ用に纏めました。

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概要:
 小田急が2006年9月に38億円の費用を投入して製作すると発表し、2007年10月から12月に掛けて搬入され、2007年11月に公開、2008年3月15日のダイヤ変更時から運用に就いた東京地下鉄(東京メトロ)千代田線乗り入れ用の特急車で、小田急は発表当初からMSE車と呼んでいる。MSEとはMulti Super Expressの略で、MはMetroのMではないようだ。
 2007年度に6両編成2本、4両編成1本の16両が製作され、2009年度には6両編成1本の増備が計画されている。

 30000形EXE同様、JR東日本の湘南ライナーを意識していたと見られ、通勤客をロマンスカーに誘導しようとした意図が感じられる。20mボギー車の10両編成を基本とし、4両と6両に分割して柔軟な運用が組める様にしているが、製作数から、1本しかない4両編成検査時、及び他形式の代走時には6両編成単独で運用されている。
 座席定員は4連が226名で30000形に比べ4名減、6連が352名で30000形に比べ6名減、10連時が578名で30000形に比べ10名減である。
 全体的には先に登場した50000形VSE車を踏襲し、これを車体傾斜機構のない通常のボギー車として地下鉄乗り入れ仕様とし、30000形の自動幌結装置を組み合わせた様な電車である。

 編成構成は新宿方から4両編成が
 クハ60050(60050)+デハ60000(60000)+デハ60000(60100)+クハ60050(60150)
 6両編成が
 クハ60050(60250)+デハ60000(60200)+デハ60000(60300)+デハ60000(60400)+デハ60000(60500)+クハ60050(60550)
で、5000形以来の付番に倣っている。

 エクステリアデザインはドイツ鉄道ICE3によく似たVSE車に近いデザインで、車体色はVSE車の白に対してブルーのメタリックで、これを小田急は、『地下駅でも明るさを感じさせる「フェルメール・ブルー」』と呼んでいるが、メタリック塗装を「フェルメール・ブルー」と呼ぶのはちょっと、という感じもする。
 このメタリックブルーの車体にかつてのロマンスカーのイメージカラーであったオレンジ色と白が細いラインとしてあしらわれているが、白を挟んでいる側はともかく、メタリックブルーとオレンジが接している部分はオレンジラインが細いせいもあって少し離れて見ると濁って見えてしまい損をしている。側面のロゴ文字もオレンジ色なので同様である。
 フェルメールの名前を借りながら、フェルメールのように青以外にも黄色や赤を効果的に使う優れた配色センスは感じられない。特に正面からは白/オレンジのラインは全く見えず、ブラックアウトされた窓しか見えない事と、スカートまでメタリックブルーが延びている事と合わせ、のっぺりして見える。
 窓もVSE車同様天地寸法が小さい上に位置もやや高めで上下に戦前のHB車の如く当て板が付いている事や、車体裾の処理など、全体的にドイツ鉄道ICE3と似たデザイン処理が行われている。構体の多くをVSE車と共通としているからこの辺は仕方がない面もある。
 ちなみにデザインはVSE車同様、神戸芸術工科大学教授で岡部憲明アーキテクチャーネットワーク代表の岡部憲明氏(1947~)。小田急側から「ドイツ鉄道ICE3の様なデザイン」にしてくれとか、色にカッコウつけたネーミングをしてくれとか、妙な注文でもされたのかしらん。


OER-60000中間
平日なのにVSEの「はこね」の運用に就くMSE車。
 4両編成が1本しかないため、代走運用に入る際には必ず6連単独で運用に就く。
 こうしてみても客窓が異様に小さく、しかも位置が高い。山本寛斎氏デザインの京成スカイライナーの様な思い切りがなく、コンプレックスの塊のようなデザインだ。
2009年7月、町田。

 シートピッチは983mmでVSE車の展望席1150mm・先頭車1010mm・中間車1050mmと比べかなり狭い。これでも背もたれを薄くしてシートピッチ1000mmの30000形EXEより足元空間は42mm広くなったとしている。
 座席はVSE車同様岡村製作所製で、テーブルが背もたれから肘掛収納に変わり、座席向い合わせ使用時にもテーブルが使用できるようになった。
 テーブルを出したまま、或いはシートをリクライニングした状態でも終端駅での回転が出来る様にする為だと思うが、テーブルは肘掛先端を要とするような扇形で、背もたれは同じ岡村製作所製のVSE車のオフィスチェア風座席に比べて上に向かってかなり細くなっている。
 テーブルはA4ノートパソコンが使用できると小田急や岡村製作所は謳っているが、A4ノートサイズは何とか使用できてもA4ファイルサイズのパソコンはきついだろう。
 ちなみに座席の脚部は天龍工業製であるのもVSE車と同様であるが、何で座席全体を天龍工業に任せずにオフィスチェアを採用し続けるのかと思うが、デザイナーの関係かもしれない。

 車体幅は2850mmで、VSE車より50mm広くなった。
 連結面間長は非連結側の制御車が20220mm、他が20000mmで10両編成時の編成全長は200440mm。
 車体はアルミ製のダブルスキン構造で、編成総重量は359.8t。30000形EXEが376.7tであったから、都合4.5%ほどの軽量化である。座席定員は1.7%減っているから、定員あたりで見ると2.8%の軽量化という勘定になる。30000形EXEが3.5M6.5Tと異様に電動車比率が低く見た目より軽いのに対し、60000形MSE車は地下線内非常時に備え6M4Tと電動車比率が高く、これによる重量増をアルミ合金による軽量化で抑えた感じである。
 4両編成は単独で地下線に乗り入れる事が考慮されておらず、連結側先頭車の自動幌装置の非常時の手動扱いが出来ない。これは4両編成が動力1ユニットカットで勾配区間で故障編成救済が出来ないなど、地下線乗り入れに必要な動力性能が得られない為と推察される。従って、地下線乗り入れが可能なのは、6両編成単独、もしくは10両編成組成時という事になる。
 主電動機は三菱電機製のMB-5123-A2で出力190kw。歯数比は79:19=4.16で50000形VSE車と同じであるが、設計最高速度は120km/h、最高運転速度は110km/hとされ、50000形VSE車の130km/hより控えめである。
 台車は軸箱支持を円筒積層ゴムタンデム式としてヨーダンパを省略したボルスタレス台車である。電動台車がND-739、付随台車がND-739T、または駐車ブレーキ付のND-739TAで50000形VSE車に続き日本車輌製。車輪径は付随台車が810mmとやや小さく、電動台車は標準的な860mmで、軸距は2100mmである。駆動方式も50000形VSE車に続きWN駆動である。
 制御装置は東芝製。電動機4台2群で8個制御の2レベルIGBT-VVVFインバータ、SVF089-B0を60100代車に、SVF089-A0を60300・60500代車に積み、主電動機の個数は4両編成が8台で2M2T、6両編成が16台で4M2T、10両編成時が24台で6M4Tである。
 制動装置は回生ブレーキ併用全電気指令式である。
 補助電源装置は260kVAのIGBT-SIVを60000・60400番代車に積んでいる。型番はOE-SC86とされているが、これはJR東日本のSC-86の小田急版なのかな。
 全般的に、搭載機器は新4000形とほぼ同じである。
 床面高さは50000形VSE車より35mm持ち上がってレール面から1155mmとなったが、これは地下線乗り入れ用の通勤電車である新4000形と比べても25mm高く、低重心設計ではない。
 パンタグラフは4両編成の電動車、及び6両編成の電動車のうち60400・60500代車に搭載。各編成毎に離線対策として母線で引通している。
 運転台は乗務員の意見を積極的に取り入れて設計したとしているが、これは50000形VSE車で異常にコンパクトにされ、作業上支障があったのか専用の制服まで用意された事と無縁ではなかろう。

 この電車は東京メトロ乗り入れを中心に運行されており、基本的に江ノ島線での運用はないが、2009年のニューイヤーエクスプレスとして片瀬江ノ島に遠征している。

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 履歴:
 ●竣工

 2007年12月10日、60251+60201+60301+60401+60501+60551日本車輌
 2007年12月14日、60051+60001+60101+60151日本車輌
 2007年12月19日、60252+60202+60302+60402+60502+60552日本車輌

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参考文献:
 鉄道ピクトリアルNo.628(1996/10増刊、新車年鑑)P.115-117、182(小田急電鉄30000形の項及び諸元表)
 小田急電鉄プレスリリース第06-30号
新型ロマンスカー・MSEの製造を決定 2006.9.20
 鉄道ジャーナルNo.498(2008/4)P.100-105「小田急電鉄60000形の概要」
 岡村製作所ニュースリリース「小田急電鉄株式会社 新型「小田急ロマンスカー・MSE(60000形)」用アルミ製インアームテーブル付車両用シートを納入」2008年4月24日
 鉄道ピクトリアルNo.810(2008/10増刊、鉄道車両年鑑)P.163-164、211(小田急電鉄60000形の項及び諸元表。但し諸元表はレイアウトズレあり。)
 オダキュウボイスvol.14(2009年5月号)「2009年度鉄道事業設備投資計画」