小田急電鉄8000形 2013年11月30日追補

小田急8000形
2002年。大和駅にて。

本稿は、2003年1月に本ホームページ用に纏めました。

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概要:
 中型車の駆逐、及び輸送力増強用に1982年12月に登場したのが8000形である。性能的には5000形の改良増備の形であり、5000形の車体外形、9000形の界磁チョッパ制御装置から発電ブレーキを省略して回生制動のみとして組み合わせた形である。
 車体構造は連続突合せ溶接構造で、一足先に登場した国鉄201系電車で採用されていたものに準じている。車体の耐食性向上に意が払われており屋根板のステンレス化が行われている。また、空調装置は7000形で採用されたCU195を手直ししたCU195A(1986年度分からCU195Bに変更)を採用、能力は10500kcal/hでこれを2台1組として2組の計4台が各車に搭載されている。5000形登場後13年間に現れた技術を採用し、独自の新技術の少ない新型車であった。
 客室側窓は一段下降窓であるが、防蝕性、メンテナンス性向上の為、ユニット構造とされた。ガタつきの防止に意が払われており、5000形6両編成、9000形の一段下降窓に比べて窓のガタつきから生じるバタバタという不快な騒音は大分抑えられている。
 室内幅は2700mmと、5000形6両編成と比べると、4.6mmだけ広くなったが、2600形4000形5000形4両編成に比べると15.4mm狭い。
 6両編成が1982年12月から毎年度製造、4両編成が1984年2月から毎年度製造と、5000形と違って6両編成と4両編成が併行して製造されている。1987年10月までに6両編成、4両編成共16編成ずつ製造され、製造総数は160両である。
 前頭部の形状は当時流行の前面を黒く見せる造形であるが、前頭部の曲面は半径6000mmと、2600形以降と同じであり、なんとなく小田急らしく見えるのはそのためであろう(ちなみに2400形以前の中型車は半径5000mmであった)。この小田急の通勤車における前頭部の曲面は本形式が最後となっており、1600形以降続いてきた半流線型の最終形態ともいえる。
 室内の見付は空調の関係で天井付近が大分違う他、化粧板に網目模様が付いたりしているが、全体的に地味な変更であり、一般の人が室内だけ見たら5000形とは大差がない。尚、室内の配色は5000形とほぼ同じであるが、最後に製造された4両編成3本と、6両編成1本は室内の配色が座席が赤、壁面がクリーム色と、直後に登場する1000形の配色を先行して採用している。

 制御装置は電動カム軸式直並列抵抗制御で界磁制御に自己ターンオフ型高速度サイリスタ(GTOサイリスタ)を使用したチョッパ制御を行う三菱電機製FCM-148-15MDRH。制御段数は直列13段、並列10段、弱め界磁は連続制御、制動13段で、9000形に比べ力行段数が増えている。制動は75km/h以上の領域に2段追加した構成のようだ。1台の制御装置で8個の主電動機を制御する。これを4両編成に1台、6両編成に2台積み、4両編成が2M2T、6両編成が4M2Tの構成である。
 主電動機は140kW/375Vの複巻式MB-3282-ACで三菱電機製。注意しないといけないのは、5000形の135kW/340VのMB-3039-Bに比べて出力アップした訳ではないという点である。MB-3039-Bは375V(並列時に抵抗が全て短絡された時にはこの電圧が印加される)換算では150kWの電動機であるから、同じ電圧を印加した時に出しうる出力は計算上は落ちている。違いは誤差の範囲だから、ほぼ同等といっても良く、5000形の直巻電動機と同等の性能を複巻電動機で設計し直したと言ってもいいのかもしれない。
 駆動装置は小田急通勤車に2220形以来採用され続けている愛用のWN駆動。歯数比は85:16=5.31で5000形の90:17=5.3とほぼ同じであるが、動輪径が910mmから860mmへ小さくなっている為、電動機の回転数は9000形ほどではないにしろ、かなり高めの設定である。
 編成重量は4両編成が5000形の141.9tに対し145.55t、6両編成が5000形の215.5tに対し223tで、やや重くなっている。
 重量増による加速力不足を電動機の回転数で稼ぎ、5000形同等の性能を狙ったものと見られ、バーニア制御をやめている事を含め、より性能向上を目指すという前向きの姿勢は伺えないが、異形式併結が運用上避けがたい小田急ではある意味仕方がない。
 台車は基礎制動装置を5000形のクラスプ(両抱き)式からまたシングル式に戻した住友金属製のアルストムリンク式。電動台車がFS516、付随台車がFS016で、共に車輪径860mm、軸距2200mmである。
 回生ブレーキを主体とした為、抵抗器の冷却は自然空冷式に戻された。
 補助電源装置は当初電動発電機(MG)であったが、4両編成全編成と6両編成の8259編成から静止形インバータ(SIV)に変更されている。

 1997年より座席のセミバケット化が行われている。2002年からはパンタグラフのシングルアーム式への交換が行われており、全車交換が完了している。
 転落防止外幌の取付工事は全車完了している。

 登場後20年を経て、2002年度から車体修理が開始され、3000形と同様に車椅子スペースが設けられ、ドアチャイムの設置の他、表示装置のLED化、案内装置の追加等のリニューアルが行われている。表示装置のLEDは2006年以降の竣工からフルカラーになっている。
 2012年度分から室内照明がLED照明に変更されている。

 2003年度の車体修理分、8254Fからは、動力装置の全面的な更新が行われ、3000形とほぼ同じ物に置き換えられてVVVFインバータ制御による誘導電動機駆動となっている。
 制御装置は3000形民鉄標準仕様車と同じ三菱電機製の電動機4個制御2群で8個の電動機を制御するMAP198-15V115Aが8200番台車に、4個制御1群のMAP194-15V116Aが8500番台車に積まれ、電動機の個数は編成12個である。(註:3000形のページでも触れたが、三菱電機の制御装置の型番構成は、194、198の19は駆動電動機容量190kwを、4、8は駆動する電動機の数、15は電源電圧1500Vを示し、最後の番号が追い番であると推察され、実際そのように付番されている。従って、鉄道ピクトリアルNo.829「小田急電鉄特集」の型番表記は間違いが多い。4個制御の制御装置はMAP-198-15V116AであるはずはなくMAP-194-15V116Aである。記事や諸元表の参照元や文献に間違いはないから、執筆のK氏が型番の意味に無頓着なのだろう。1999年の前回の「小田急電鉄特集」で執筆した大幡哲海氏の参考文献が大元に近いのに比べても信用性は残念ながら数段落ちる。)
 電動機も3000形民鉄標準仕様車と同じ三菱電機製のMB-5102-Aで190kW、WN駆動で歯数比も同じ97:16=6.06である。台車形式は電動台車がFS516Aに、電装解除された付随車の台車形式はFS516Tとされている。
 2007年度以降、新4000形登場以後の車体修理分、8264F以降では新4000形の機器に準じた装備の変更が行われ、主電動機は全密閉外扇形のMB-5123-Aとされている。
 この結果、編成中の電動車1両が付随車となり、新形式サハ8050が誕生している。
 制動装置も3000形同様の回生ブレーキ併用全電気指令式電磁直通空気ブレーキMBSA-Rに改められている。6両編成には在来車との併結用に3000形同様、ブレーキ読替装置の設置が行われていたが、4両編成では省略されている。従って現状では4両編成車体修理車の連結相手は8000形のインバータ駆動車及び3000形の6連という事になり、5000形1000形、8000形抵抗制御車とは連結運転できない。
 また、付随車となったサハ8050のパンタグラフと、通常運用で使用されない6両編成の下り方先頭車と4両編成の上り方先頭車の電気連結器、空気配管が撤去された。運転台機器も3000形に準じてワンハンドルタイプに変更されている。


小田急8000形運転台
車体修理後の8264号の運転台。2008年4月。藤沢駅にて。

 6両編成の内、補助電源装置がMGの物から改造され、これがSIVに交換されているが容量は同じ140kVAでこれが編成中2台ある。2005年度から当初からSIVの物も改造が開始されており、既にMG搭載の車輌はなくなっている。
 編成重量は215.6tと軽くなったが、これでも5000形と同じ程度である。電動機が4台も減って5000形とほぼ同じという事は、8000形の車体は相当重いと言う事だろう。3000形の動力装置と同じ物に更新したと言っても、3000形6両編成が182.8tであるから、同じ歩調で走るにはかなりのトルクブーストが必要である。
 車体修理は2012年度末迄に6両編成16本全編成、4両編成14本の計152両について行われ、内6両編成2本を除く140両について動力装置の更新が行われている。2013年度は4両編成2本について車体修理が計画されており、これにより全車両完了する。

 吊革の本数は先頭車140本、中間車152本と、5000形の最終形と比べて2本ずつ少なくなっている。
 尚、編成組換え、廃車は1両もないが、インバータ制御化に伴い、6両編成中4両の電動車の内1両が付随車に変更となった為、改番(元番号+50)が発生している。

 履歴:
  ●竣工

 1982年12月17日、8251+8201+8301+8401+8501+8551東急車輛
 1983年3月30日、8252+8202+8302+8402+8502+8552川崎重工
 1983年4月21日、8253+8203+8303+8403+8503+8553川崎重工
 1983年5月26日、8254+8204+8304+8404+8504+8554日本車輌
 1983年7月7日、8255+8205+8305+8405+8505+8555日本車輌
 1983年8月11日、8256+8206+8306+8406+8506+8556川崎重工
 1984年2月3日、8051+8001+8101+8151東急車輛
 1984年3月27日、8052+8002+8102+8152東急車輛
 1984年4月26日、8257+8207+8307+8407+8507+8557日本車輌
 1984年5月23日、8053+8003+8103+8153東急車輛
 1984年6月19日、8258+8208+8308+8408+8508+8558川崎重工
 1984年10月13日、8259+8209+8309+8409+8509+8559日本車輌
 1984年11月12日、8260+8210+8310+8410+8510+8560東急車輛
 1984年12月17日、8054+8004+8104+8154川崎重工
 1984年12月25日、8055+8005+8105+8155川崎重工
 1985年2月21日、8261+8211+8311+8411+8511+8561東急車輛
 1985年3月29日、8056+8006+8106+8156日本車輌
 1985年4月8日、8057+8007+8107+8157日本車輌
 1985年5月22日、8262+8212+8312+8412+8512+8562川崎重工
 1985年11月20日、8058+8008+8108+8158日本車輌
 1985年12月9日、8263+8213+8313+8413+8513+8563川崎重工
 1986年1月22日、8059+8009+8109+8159東急車輛
 1986年10月9日、8264+8214+8314+8414+8514+8564日本車輌
 1986年10月25日、8265+8215+5315+8415+8515+8565日本車輌
 1986年11月22日、8060+8010+8110+8160川崎重工
 1986年11月26日、8061+8011+8111+8161川崎重工
 1986年12月19日、8062+8012+8112+8162川崎重工
 1986年12月22日、8063+8013+8113+8163川崎重工
 1987年2月2日、8064+8014+8114+8164東急車輛
 1987年2月25日、8266+8216+8316+8416+8516+8566東急車輛
 1987年10月7日、8065+8015+8115+8165日本車輌
 1987年10月10日、8066+8016+8116+8166日本車輌

  ●車体修理
 2003年2月4日、8251F
 2003年3月26日、8255F
 2004年3月31日、8254F
 2004年8月18日、8256F
 2004年11月30日、8258F
 2005年3月22日、8257F
 2005年8月22日、8259F
 2005年11月29日、8253F
 2006年3月25日、8252F
 2006年8月14日、8261F
 2006年11月30日、8262F
 2007年3月24日、8266F
 2007年8月9日、8260F
 2007年11月22日、8264F
 2008年3月20日、8051F
 2008年8月5日、8263F
 2008年11月13日、8057F
 2009年2月20日、8054F
 2009年7月24日、8064F
 2009年10月27日、8056F
 2010年2月18日、8265F
 2010年8月19日、8052F
 2010年12月1日、8053F
 2011年3月26日、8058F、8066F
 2011年8月16日、8063F
 2011年12月6日、8065F
 2012年8月10日、8055F
 2012年11月28日、8062F
 2013年3月15日、8060F

  ●改番(電動車→付随車)
 2004年3月31日、8404→8454
 2004年8月18日、8406→8456
 2004年11月30日、8408→8458
 2005年3月22日、8407→8457
 2005年8月22日、8409→8459
 2005年11月29日、8403→8453
 2006年3月25日、8402→8452
 2006年8月14日、8411→8461
 2006年11月30日、8412→8462
 2007年3月24日、8416→8466
 2007年8月9日、8410→8460
 2007年11月22日、8414→8464
 2008年8月5日、8413→8463
 2010年2月18日、8415→8465

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