小田急電鉄1800形2006年5月10日新規

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本鵠沼-鵠沼海岸、1980年。

本稿は、2006年5月に本ホームページ用に纏めました。

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概要:
 戦後の鉄道輸送力確保の為に私鉄に割り当てられた国鉄モハ63形の内、小田急に割り当てられ1946年から入線した車両が1800形である。製造されて直接小田急に納入された車両が大半であるが、名古屋鉄道を経由した車両や国鉄の旧番号の無いものの他に、戦災復旧車のモハ42形、モハ60形を起源とするものが各1両ある。

 システム的には、鉄道省電車そのものであった。台車は車輪径910mm、軸距2500mmで電動車がTR-25A、制御車がTR-25AまたはTR-25C。制御装置は電空カム軸式のSC5型。主電動機はMT30AまたはMT40で出力は128kwとされている。吊り掛け駆動で歯数比は66:23=2.87。制動装置は電磁空気制動AE。

 小田急初の20m4扉車で、デハ1800形とクハ1850形の2両編成を組んでいた。
 当初デハ1800+クハ1850のペア10組20両だったが3組が1947年に相模鉄道に転出し、1948年に名古屋鉄道から3組転入して再び10組20両になった。
 これらとは別に4扉改造された元モハ42004の1821が1952年に入線し、これと3扉車の元モハ60050の1661を改番して1871としたペアがあったが、後に車体更新の際に車体構造が統一され夫々1811、1861に改番して編入、最終的に22両が出揃った。

 1951年6月から7月に掛けて車体の強化と幅広貫通幌連結に改造。
 当初側窓は3段窓であったが1953年1月に2段窓に改造さた。
 1957年から車体更新工事が行われ、車体はノーシル・ノーヘッダーとされ、正面に貫通ドアが付いた近代的な車体に統一された。この時に電動発電機とコンプレッサーがデハ1800からクハ1850に変更され、クハ1850に9kVAの電動発電機と990L/minのコンプレッサーが搭載されている。またこの時に小田原方が電動車であったのを新宿方が電動車になる様に方向転換している。
 1968年から1969年に掛けて、制動装置が電磁直通空気ブレーキHSCに改められ、連結器を回り子式の密着連結器に交換、台車の枕ばねを板ばねからオイルダンパ併用のコイルばねに改造、前照灯を2灯に改造、前面に列車種別表示機を新設、制御装置を油圧カム軸式APFに交換している。

 ブレーキのHSC化に伴って、4000形4000形3両編成と連結して5両編成を組む事もあったが1973年に2回の脱線事故を起こし、中止されている。
 この後、自動電気連結器の設置が行われ、1974年3月から使用を開始している。小田急では初代3000形SE車に続くもので、通勤型では一番導入が早かったが、これは1800形が正面が切妻で解結作業がやり難かった為とされている。

 この後、2編成連結の4両編成で固定的に使用される様になり、原則として末尾番号が1+2、3+4、5+6、7+8、9+10(60)の組合せで奇数編成が上り方になる様に運用に就いた。
 これを受け、必ず中間に入るデハ1800形の偶数車とクハ1850形の奇数車は運転台の整備を行わず、貫通ドアの交換も行われなかった。しかし1811+1861だけは予備車となって検査代用として使用された為、両方の運転台が整備されて貫通ドアも両方交換されていた。

 1979年4月から廃車が始まり、1981年7月に全車引退、秩父鉄道に譲渡されたが既に引退している。

 履歴:
  ●竣工・転出・入線

 1946年8月、1851、1852日本車輌東京支店、1801、1802。1801+1851、1802+1852と組成。続いて1803+1853、1804+1854、1804+1854、1805+1854、1806+1856、1807+1857、1808+1858が入線。
 1947年、1809+1859、1810+1860が使用開始。
 1947年11月、1806、1807、1808、1856、1857、1858が相模鉄道に転出、モハ3001~3003、クハ3501~3503となる。
 1948年12月、名古屋鉄道からの転入車で1811+1861、1812+1862、1813+1863と組成。
 1950年7月、国鉄モハ60050の戦災復旧車がクハ1661となる。
 1952年12月、国鉄モハ42004の戦災復旧車がデハ1821となる。クハ1661をクハ1871に改番の上1821+1871と組成。

  ●番号の変遷
 国鉄モハ63050→デハ1801
 国鉄モハ63052→デハ1802
 国鉄モハ63064→デハ1803
 国鉄モハ63098→デハ1804
 国鉄モハ63088→デハ1805
 国鉄モハ63208→デハ1806(初代)→相模鉄道モハ3001
 国鉄モハ63196→デハ1807(初代)→相模鉄道モハ3002
 国鉄モハ63100→デハ1808(初代)→相模鉄道モハ3003
 国鉄モハ63250→デハ1809(初代)→デハ1806(2代目)
 国鉄モハ63252→デハ1810(初代)→デハ1807(2代目)
 国鉄モハ63129→名古屋鉄道モ3704→デハ1811(初代)→デハ1808(2代目)
 国鉄モハ63131→名古屋鉄道モ3705→デハ1812→デハ1809(2代目)
 国鉄モハ63133→名古屋鉄道モ3706→デハ1813→デハ1810(2代目)
 国鉄モハ42004→デハ1821→デハ1811(2代目)
 旧番なし-クハ1851
 旧番なし-クハ1852
 国鉄モハ63317→クハ1853
 国鉄モハ63319→クハ1854
 国鉄モハ63305→クハ1855
 国鉄モハ63311→クハ1856(初代)→相模鉄道クハ3501
 国鉄モハ63321→クハ1857(初代)→相模鉄道クハ3502
 国鉄モハ63323→クハ1858(初代)→相模鉄道クハ3503
 国鉄モハ63191→クハ1859(初代)→クハ1856(2代目)
 国鉄モハ63193→クハ1860(初代)→クハ1857(2代目)
 国鉄モハ63272→名古屋鉄道ク2704→クハ1861(初代)→クハ1858(2代目)
 国鉄モハ63274→名古屋鉄道ク2705→クハ1862→クハ1859(2代目)
 国鉄モハ63276→名古屋鉄道ク2706→クハ1863→クハ1860(2代目)
 国鉄モハ60050→クハ1661→クハ1871→クハ1861(2代目)

  ●廃車
 1979年4月30日、1807+1857、1808+1858。→秩父鉄道807+857、808+858(1989年12月31日除籍)。
 1979年7月30日、1801+1851、1802+1852、1803+1853、1804+1854。→秩父鉄道801+851、802+852(1989年3月31日除籍)、803+853、804+854(1989年9月30日除籍)。
 1980年7月30日、1805+1855、1810+1860。→秩父鉄道805+855(1990年3月31日除籍)、810+860(1990年3月31日除籍)。
 1981年7月30日、1806+1856、1809+1859、1811+1861。→1806+1856は秩父鉄道に譲渡後に入籍せずに部品確保用に解体された。1809+1859→809+859、1811+1861→806+856(1990年3月31日除籍)。

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