東日本旅客鉄道E993系電車(ACトレイン)
2006年7月23日新規、2008年5月16日追補。


2006年7月、郡山総合車両センター。クハE993(5号車)側。
通勤電車の試験車なのだが、手前2両目(4号車、サハE993)はクロスシートを装備、グリーン車の設備試験を想定している様だ。
前面の白い飾り帯は内部照明により光る様になっているが、E331系電車では内部照明が省略されていて光らない。
直流電車なので宇都宮からは電気機関車に牽引されてここまで辿り着いた。

本稿は2006年7月に本ホームページ用に纏めました。

前書き
 全く偶然なのですが、「郡山車両基地まつり」に遭遇し、試験車E993系電車ACトレインの実物を見る事が出来ましたので、ここでACトレインについて解説を試みます。
 但し、この電車は試験電車である為、その行動が公式に表に出る事は少なく、ここでの解説は主として竣工時に発表された内容に基づいている事を了承願います。

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概要:
 21世紀にふさわしい次世代タイプの通勤電車の開発をする為、システムチェンジ、旅客サービスの向上、輸送の安定性向上、バリアフリー、エコロジーの5つの研究テーマを設定して製作されたのがE993系電車である。先進通勤電車の意味から、ACトレイン(Advanced Commuter Train)という愛称が付けられている。

 製造区はクハE993-1(5号車)、サハE993-1(4号車)、モハE993-1(3号車)が東急車輌、モハE992-1(2号車)、クハE992-1(1号車)が川崎重工で、2002年1月17日に竣工している。

 車体構体は東急車輌製がステンレス鋼、川崎重工製がアルミニウム合金であるが、4号車のみ従来のシングルスキン構造で、他の4両はダブルスキン構造である。
 運転台の形状は、比較の為、両先頭車で変えられ、1号車が前面強化構造の通勤型仕様、5号車が衝撃吸収構造の近郊型仕様で、この造り分けはE231系電車に倣っている。
 側引き戸はリニアモーター駆動で、4号車が従来の戸袋方式で、それ以外は外吊式として戸袋を廃し、客室を広く取っている。客用ドア数は4号車が2ドアで、他は3ドアである。
 最大幅は車輌限界上限の3000mmとしており、結果、室内幅は4号車が2789mm、それ以外が2830mmとなっている。
 床面はE231系電車より15mm下げられ1150mmとなっている。
 客室は4号車がシートピッチ1160mmと特急用グリーン車と同等のクロスシートとロングシートの合造で、他はロングシートである。
 クハE993が近郊タイプの運転台なのに、何故かセミクロスシートを試しておらず、トイレもない。
 パンタグラフはシングルアーム式で、2号車と4号車の編成中央寄りに設置されている。
 冷房装置はAU909が1号車と5号車に、AU908が3号車の屋根上に各1台搭載されていて、容量は夫々53000kcal/h。2号車と4号車には前後の車輌からダクトを通している様だ。

 制御装置は3号車に集中搭載され、型式はSC932。仕様は2レベルPWM制御のIGBTによるVVVF制御とされ、容量は3300V/1200A。1個モーター制御4群で4個のモーターを駆動する。
 直接駆動方式(DDM)が試みられ、駆動は回転子に永久磁石を使用したインナーローター式。主電動機は定格出力は200kwで型番はMT935。これが編成中に4台ある。
 制動装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキである。
 5車体の連接構造である為、台車は編成6台。比較の為、全て仕様が異なっている。
 台車型番は1号車端から、TR917、TR915、DT958、DT957、TR914、TR916で、電動車の上り方(=3号車の前後)が電動台車とされている。TR916とTR917が通常のボギー付随台車、TR914とTR915が連接付随台車、DT957とDT958が連接電動台車で、TR914とDT957が2点支持方式、DT958とTR915が4点支持方式、TR917には駐車ブレーキ装備といった違いがある。


連接付随台車TR914
左がクハE993、右がサハE993。サハE993が台車に直接載っており、この台車はサハE993の物とされている。
クハE993はサハE993の上に引っ掛る形になっている。
この台車は2点支持方式で、E331系電車では4点支持方式が採用され、2点支持方式は没になった。
台車中心と連結面間の中心は小田急特急車の様にずれておらず、一致している。

 車体長は両先頭車が16050mm、中間車が13000mmで、車体間が400mm、両端の連結面の飛び出しが250mmであるから編成長は都合73200mmである。

 川越電車区(現川越車両センター)に配置され、川越線や埼京線を主体に試験が行われ、中央本線でモニターテストが行われている。
 2006年3月にE993系電車の試験結果を踏まえたE331系電車の量産先行車が登場し、所期の目的は達成したものと見られ、この度の郡山総合車両センター入りで御役御免になり、2006年7月14日付で廃車、解体されている。

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