東日本旅客鉄道E991系電車(TRY-Z)
2005年5月28日新規、2006年11月27日修正。


1998年9月、中央本線・塩尻-みどり湖。クモヤE990側。
クモヤE991側の写真はTOPページに貼ってあります。

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本稿は2005年5月に本ホームページ用に纏めました。

前書き
 高速試験車E991系電車、TRY-Zについて、私自身は客寄せのつもりでTOPページに写真を貼ったのですが、TRY-Z或いはE991で検索して弊ホームページを訪れる人が少なくない為、TRY-Zについてここで解説を試みます。
 但し、この電車は試験電車である為、その行動が公式に表に出る事は少なく、ここでの解説は主として竣工時に発表された内容に基づいている事を了承願います。
 また、TRY-Zを客寄せとした当初の目論見に鑑み、検索エンジンから直接こちらにいらっしゃった方には、御足労でも弊ホームページの他のページも御高覧して頂く事を切に希望致します。

概要:
 在来線における、「21世紀の理想的な鉄道システムの実現」を標榜し、コスト、情報、環境を3本柱に据え、この3の意の「TRY」と、「在来線において、究極の技術開発に挑戦する試験電車」という意味で「Z」を組み合わせ、「TRY-Z」という愛称が付けられた。
 製造区はクモヤE991-1が日本車輌、サヤE991-1が東急車輌、クモヤE990-1が日立製作所で、1994年11月12日に竣工している。
 車体構体はアルミニウム合金であるが、3車体に脈略が無く、クモヤE991が中空押出し材、サヤE991が板材、型材のスポット溶接、接着剤併用の工法が試みられ、クモヤE990はハニカム板材である。
 運転台の形状は、比較の為、両先頭車で変えられ、運転台機器の配置も違う。特にクモヤE991では試験電車らしくコントロールレバーは左手前に寄せられ、助手席を後方に追いやりテーブルが運転席を取囲んでいて前方の計器盤はモニター表示である。

クモヤE991形外観図のCADデータはこちら
クモヤE991形外観図
JR東日本E991系電車TRY-Zの制御電動車クモヤE991の外観図CADデータです。
添付ファイルにも資料になる内容を含んでいます。

 徹底して低重心化され、屋根上にはパンタクラフ以外の構造物は殆ど無い。パンタグラフはシングルアーム式で、サヤE991の、クモヤE990寄りに搭載されている。
 制御装置は2組あり、それが両先頭車に搭載されている。夫々にあまり脈絡が無く、クモヤE991が2レベルGTOによる4個モーター一括制御、クモヤE990が3レベルIGBTによる2個モーター制御2群で4個のモーターを駆動する。
 台車は車体傾斜機構を持っているが準備工事とされている。
 クモヤE991はコイルばね支持で油圧機構を持ち、上下振動をアクティブ動揺制御装置、左右振動をセミアクティブ制御装置で分担する軸距2100mmのボルスタレス台車DT955を履く。
 サヤE991は空気ばねによる左右振動を制御するアクティブ動揺制御装置を持ち、横圧低減を目論み軸距1900mmのボルスタレス台車TR913を履く。
 クモヤE990は空気ばねによる上下左右の振動を制御するアクティブ動揺制御装置を持ち、車体傾斜機構として振子リンク機構を準備している軸距2100mmのボルスタレス台車DT956を履く。
 全長は両先頭車は21000mm、中間車サヤ991が20000mmで、車体幅は振子試験の為と思われ2780mmしかないが、壁が薄く作られており、室内幅は2660mm確保されている。
 重量はクモヤE991が25.3t、サヤE991が25.8t、クモヤE990が28.7tとかなり軽い。
 制動装置は電気指令式の油圧ブレーキが試みられ、吸着型うず電流レールブレーキが装備されている。
 主電動機は両制御電動車に定格120kwの物が4個ずつ搭載されているが、その仕様は異なる。クモヤE991には定格引張力1398kgf、定格速度119km/hのMT927形電動機が装備され、歯数比は4.82。クモヤE990には定格引張力1472kgf、定格速度121km/hのMT928形電動機が装備され、歯数比は4.84である。最高運転速度は200km/hとされる。

 勝田電車区に配置され、常磐線主体で試験が行わている。1994年度には基本性能の確認を主として行い、1994年12月に交流区間で160km/h、1995年1月から2月にかけて直流区間で170km/hまでの速度向上試験が行われている。1995年度に信頼性を見る為に走り込みを行い、その後に曲線通過速度の向上試験を行うとしている。実際、1998年に中央本線に持ち込まれて試験が行われている。
 車体傾斜の実験を行ったかどうか不明であるが、JR東日本唯一の振子電車E351系電車登場後に中央本線で試験を行い、その後、振子車輌を投入しておらずE257系電車という中央本線の高速化を諦めた様な電車を投入しているから、「在来線において、究極の技術開発に挑戦する試験電車」を使って試験したにも拘らず、量産車に生かせる技術を見出せなかったのかもしれない。
 中央線での試験の後、いくらもしないで試験が終了したものとされ、1999年3月27日に除籍されている。その後解体された模様。

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